お陰様で本日図書館に新たな作品が加わりました。
このところ開店休業状態の図書館。以前はこちらから新作を探しにリンク先や新たな著者のもとをまわっていたのですが、一昨年あたりから個人的な事情で余裕が無くなってしまいました。
引き続き、書架への作品の推薦等は「お便り・お問い合せ」よりお送りください。
よろしくお願いいたします。
森山一紀 May.25.2008

先日昔の写真仲間と会ったときのこと。我々がいま過ごしている時代は、写真が抜け落ちる時代になるのでは、という話になった。長いあいだ写真は「紙」に焼き付けられることで残されてきた。傷み色褪せてもその時代を確実に刻んできた。デジタル画像もメディアの中に残るが、「紙」の持つ存在感とは比べられない。デジタルが劣化しないのは形にならない間だけのことで、その意味でデジタルは形を生み、残すことを必ずしも前提としない、と言えるかもしれない。同じことは文章にもあてはまる。ワープロ原稿やウェブページのデータをパソコンに保存する。書いたり読んだりすることはできても、印刷を行わなければ形として残らない。たまに推敲用に印刷してみる。朱を入れる。なんとかまとまったところでプリントアウトする。それが私の生んだ形ということに一応なるわけだが、コピー用紙に出力されたノッペリとした原稿を見ても、なかなか「これだ」という手応えは得られない。まあいいか、また何時でもなおせる。ツメの甘さをゆるしてくれる、形にして残すことを先送りさせてくれるのがデジタルでもある。もちろん、これは私の場合。写真も文章も、ケリの付け方残し方が難しくなった。
森山一紀 Jan.29.2005

出版に関わる人と飲みに行くと必ずと言っていいほど「ウェブと紙の関係」の話になる。私自身が興味のあるテーマなので、紙を専門にやっている人がどう考えているのか知りたいというのもあるし、紙専門の人も活字離れに加えて電子出版やオンデマンド出版と多様化が進む中で先を読みにくい状況がある。議論は簡単にはかみ合わない。目の覚めるようなアイデアも出ない。原稿を編集、印刷製本して書店流通させるという仕事の流れはこれまでに築いてきた会社同士の関わりそのものでもあり、思いつきでは変えられない。書くことしか考えていない人はその点自由で身軽だ。どんどんウェブに人が流れていくのはそういうこともあるのだろう。もし、ウェブと紙がうまい具合につながったら、もう一段新しい世界が開けると思うのだが。そんなことを論じ合いながら、今のところは飲み会だけが積み重なって行く。
森山一紀 Oct.21.2004